だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「どうされましたか?」
「働くとかどうとか話ついていけないんだけど! そもそも何、あの男が死ぬってどういう事なの?」

 ああ、成程。その事についてですか。

「簡潔に言えば、近いうちにララルス侯爵家は没落します。そしてあの屑は様々な問題の責任を負って処刑される事でしょう。その後の貴女の居場所にと、我々は働き口を提供しようとしているのです」

 何せ貴女は被害者ですから。と私が説明しおおせると、美女は開いた口が塞がらないままぽかんとしていました。
 そう言えば彼女の名前を聞いてませんね。それに気づいた私は早速、「貴女の名前を聞いても?」と被害者の名前を尋ねる。彼女はおずおずと、「サルナ、です」……そう答えた。

「ではサルナさん。とりあえず暫くは街の宿に泊まれるだけの金を渡しておきますので、一旦この家から離れて下さい。このまま此処にいれば貴女も巻き添えを喰らいかねませんので……食い扶持に困ったならばもう一度ここにいらして下さい。その時は私の方で責任をもって職を用意します」

 これがあの屑の被害者に私から出来る最大限の支援。半分はあの屑の血が流れてしまっている以上、あの屑の犯した過ちの一部は私が背負ってやらねばならないのです。……誠に遺憾ではありますが。
 自身の荷物の中から念の為にと持ってきておいた氷金貨をいくらか取り出し、小さな袋に入れてサルナさんの手に握らせる。「くれぐれも失くさないようにして下さいね」と忠告を残して、今度こそ私達は応接室へと足を向けました。

 そして待つ事十分程。ようやくあの屑は応接室にまでやって来ました。まさに豚に真珠……その身に着ける全てが屑には相応しく無い上質さで、頭が痛くなった気さえしましたわ。
 ベラベラと「また会えて嬉しい」とか「本当に綺麗になったな」とか「今までどこにいたのだ」とか喋り続ける屑をとにかく無視し、私は勝手に本題に入る事にしました。
 何せ、無駄話をする為にここに来た訳ではありませんので。
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