だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「……ご心配ありがとうございます、お兄さん。ところで、どうして私が貴族令嬢だと思ったんですか? この通り、私は今どう見ても貴族令嬢らしくない格好をしていますが……」
どこにでもあるようなローブとシャツにズボンスタイル。壁に立てかけるように剣を置き、肩には謎の猫と来た。誰が見てもこの格好は貴族令嬢とは思えないだろう。
顔を上げた男は一瞬きょとんとした後くすっと笑って、
「自覚が無いんだね……君、この店の中で誰よりも姿勢が良いんだよ。それにその氷菓子を食べる姿も綺麗だった。体に染み付いたマナーはそう簡単には取れないものだからね」
氷菓子を指さして言った。
彼を貴族の人だろうと私が判断したのと似たその理由に、「あっ」という声を漏らす。
「……これからは姿勢にも気をつけるようにします」
「いやいや、これからとか無しにしよう? 一人じゃ危ないって僕の忠告は全て無視されてしまったのか?」
「大丈夫です。五人ぐらいなら同時に相手出来ます」
「君、貴族令嬢だよな……?」
男は呆れたようにため息をつきながら顔に手を当てていた。
最初こそ落ち着いた雰囲気の男という印象を抱いたが、今ではただの優しいお兄さんという印象が強くなった。
全然シルフも元に戻る気配が無いし、もう少しこのお兄さんとお話するのも悪くないかもしれない。そう思い、私は名乗る事にした……勿論、偽名だけれど。
「私、スミレって言います。これも何かの縁ですし、お兄さんのお名前を伺っても良いでしょうか?」
スミレというのはアミレスからアを抜いて残りの文字を入れ替えたら出来た名前だ。
「僕は……リードと呼んでくれたら嬉しいかな」
お兄さんはリードさんと言うらしい。私はそれにこくりと頷いて、
「分かりました。では、リードさん……で良いですか?」
と呼び方の確認をした。世の中にはさん付けが生理的に無理な人もいらっしゃるそうなので、その辺はしっかりと確認していこうと思う。
「何から何まで丁寧なお嬢さんだ。それで構わないよ。こちらはスミレちゃん、でいいかい?」
「はい。問題無いです」
リードさんが爽やかな笑みを浮かべながら握手を求めてきたので、私もそれに笑顔で応えた。
そして私達はのんびりと会話を始めた。会話の種にとリードさんが話題を提供してくれたので、特に退屈する事なく過ごせた。
リードさんは旅をしているらしく、これまでの二年間で色んな国々に行ってきたのだとか。フォーロイト帝国に来たのはつい三日程前で、現在はここの近くの宿屋に宿泊しているらしい。
まだあと一ヶ月程はフォーロイト帝国に滞在し続ける予定らしく、その次にはオセロマイト王国に行く予定だそうだ。
この間まではハミルディーヒ王国にいたとかで、現在、大陸西側の国を一つずつ見て回ってるのだとか。
リードさんの色んな国の話はとても面白くて興味深かった。聞いているだけでその情景が私の脳内にも溢れるようで……いつか本当にその国へと行ってみたいなぁと思い馳せてしまう。
どこにでもあるようなローブとシャツにズボンスタイル。壁に立てかけるように剣を置き、肩には謎の猫と来た。誰が見てもこの格好は貴族令嬢とは思えないだろう。
顔を上げた男は一瞬きょとんとした後くすっと笑って、
「自覚が無いんだね……君、この店の中で誰よりも姿勢が良いんだよ。それにその氷菓子を食べる姿も綺麗だった。体に染み付いたマナーはそう簡単には取れないものだからね」
氷菓子を指さして言った。
彼を貴族の人だろうと私が判断したのと似たその理由に、「あっ」という声を漏らす。
「……これからは姿勢にも気をつけるようにします」
「いやいや、これからとか無しにしよう? 一人じゃ危ないって僕の忠告は全て無視されてしまったのか?」
「大丈夫です。五人ぐらいなら同時に相手出来ます」
「君、貴族令嬢だよな……?」
男は呆れたようにため息をつきながら顔に手を当てていた。
最初こそ落ち着いた雰囲気の男という印象を抱いたが、今ではただの優しいお兄さんという印象が強くなった。
全然シルフも元に戻る気配が無いし、もう少しこのお兄さんとお話するのも悪くないかもしれない。そう思い、私は名乗る事にした……勿論、偽名だけれど。
「私、スミレって言います。これも何かの縁ですし、お兄さんのお名前を伺っても良いでしょうか?」
スミレというのはアミレスからアを抜いて残りの文字を入れ替えたら出来た名前だ。
「僕は……リードと呼んでくれたら嬉しいかな」
お兄さんはリードさんと言うらしい。私はそれにこくりと頷いて、
「分かりました。では、リードさん……で良いですか?」
と呼び方の確認をした。世の中にはさん付けが生理的に無理な人もいらっしゃるそうなので、その辺はしっかりと確認していこうと思う。
「何から何まで丁寧なお嬢さんだ。それで構わないよ。こちらはスミレちゃん、でいいかい?」
「はい。問題無いです」
リードさんが爽やかな笑みを浮かべながら握手を求めてきたので、私もそれに笑顔で応えた。
そして私達はのんびりと会話を始めた。会話の種にとリードさんが話題を提供してくれたので、特に退屈する事なく過ごせた。
リードさんは旅をしているらしく、これまでの二年間で色んな国々に行ってきたのだとか。フォーロイト帝国に来たのはつい三日程前で、現在はここの近くの宿屋に宿泊しているらしい。
まだあと一ヶ月程はフォーロイト帝国に滞在し続ける予定らしく、その次にはオセロマイト王国に行く予定だそうだ。
この間まではハミルディーヒ王国にいたとかで、現在、大陸西側の国を一つずつ見て回ってるのだとか。
リードさんの色んな国の話はとても面白くて興味深かった。聞いているだけでその情景が私の脳内にも溢れるようで……いつか本当にその国へと行ってみたいなぁと思い馳せてしまう。