だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「リードさんは東の出身なんですよね?」
「そうだね、僕は連邦国家ジスガランド出身だよ。ジスガランドについては面白い話が無いから全然話せないなぁ……」
リードさんはそう言うと、近くを歩いていた店員さんを呼び止めて、新たにジョーヌベリーの果実水を二つ頼んだ。
ジスガランドと言えば確か、リンデア教という宗教の元に東の六つの国が集まり形成された連邦国家……だったわね。その為大陸内でも一二を争う宗教国家なのよね。
この大陸にも宗教はいくつも存在するのだけど、その中でも大きな二大宗教がある。
大陸の西側で主に信仰されている国教会の天空教《てんくうきょう》という多神教の宗教と、大陸の東側で主に信仰されているリンデア教という一神教の宗教の二つだ。
天空教はそのまま天の神々を崇める宗教で、リンデア教はかつて唯一なる神へと至った一人の人間を崇める宗教だ。
ちなみに、実はその国教会の一番偉い人が二作目の攻略対象の一人なのだ。人類最強の聖人だなんて肩書きを持つ、誰よりも純粋な青年。……滅多に表舞台に姿を表さない彼と出会う事は、そうそう無いだろう。
我がフォーロイト帝国は宗教の統一を行っていない珍しい国で、様々な暮らしや様々な教えが混在する国なのだ。
ハイラさんの授業で聞いた話には、フォーロイト帝国はその歴史上一度たりとも宗教を強制したり規制した事が無いのだとか。
それは、宗教の統一を行う必要が無いからなのだとハイラさんは考察していた。わざわざ強制せずともこの国の人間は王を敬う。王を崇める。宗教などという繋がりがなくとも、絶対に皇家に忠誠を捧げ手を取り合うこの氷の国の人間ならば問題無い……と、代々皇帝達は考えていたのでは。
そう、ハイラさんは話していた。
なのでこの国には無宗派の人も多くいる。かく言う私も無宗派だ。この世界に神々が実在している事は知っているけれど、別に崇めている訳ではないし。
「ジョーヌベリーの果実水二つ、お持ち致しました」
店員さんが両手にグラスを持って現れる。それを受け取ったリードさんが、片方、私に差し出してきて。
「スミレちゃんも一つどうぞ、さっきも言ったけれど僕の奢りだから安心して飲みなさいな」
甘い物が好きなんだろう? とリードさんは大人の余裕を感じさせる笑みで言い、自身も果実水に喉を鳴らした。
「ではお言葉に甘えて……いただきます、リードさん」
そうして、私はもう一度ジョーヌベリーの果実水を味わい、その美味しさに頬を緩める事となった。
「そうだね、僕は連邦国家ジスガランド出身だよ。ジスガランドについては面白い話が無いから全然話せないなぁ……」
リードさんはそう言うと、近くを歩いていた店員さんを呼び止めて、新たにジョーヌベリーの果実水を二つ頼んだ。
ジスガランドと言えば確か、リンデア教という宗教の元に東の六つの国が集まり形成された連邦国家……だったわね。その為大陸内でも一二を争う宗教国家なのよね。
この大陸にも宗教はいくつも存在するのだけど、その中でも大きな二大宗教がある。
大陸の西側で主に信仰されている国教会の天空教《てんくうきょう》という多神教の宗教と、大陸の東側で主に信仰されているリンデア教という一神教の宗教の二つだ。
天空教はそのまま天の神々を崇める宗教で、リンデア教はかつて唯一なる神へと至った一人の人間を崇める宗教だ。
ちなみに、実はその国教会の一番偉い人が二作目の攻略対象の一人なのだ。人類最強の聖人だなんて肩書きを持つ、誰よりも純粋な青年。……滅多に表舞台に姿を表さない彼と出会う事は、そうそう無いだろう。
我がフォーロイト帝国は宗教の統一を行っていない珍しい国で、様々な暮らしや様々な教えが混在する国なのだ。
ハイラさんの授業で聞いた話には、フォーロイト帝国はその歴史上一度たりとも宗教を強制したり規制した事が無いのだとか。
それは、宗教の統一を行う必要が無いからなのだとハイラさんは考察していた。わざわざ強制せずともこの国の人間は王を敬う。王を崇める。宗教などという繋がりがなくとも、絶対に皇家に忠誠を捧げ手を取り合うこの氷の国の人間ならば問題無い……と、代々皇帝達は考えていたのでは。
そう、ハイラさんは話していた。
なのでこの国には無宗派の人も多くいる。かく言う私も無宗派だ。この世界に神々が実在している事は知っているけれど、別に崇めている訳ではないし。
「ジョーヌベリーの果実水二つ、お持ち致しました」
店員さんが両手にグラスを持って現れる。それを受け取ったリードさんが、片方、私に差し出してきて。
「スミレちゃんも一つどうぞ、さっきも言ったけれど僕の奢りだから安心して飲みなさいな」
甘い物が好きなんだろう? とリードさんは大人の余裕を感じさせる笑みで言い、自身も果実水に喉を鳴らした。
「ではお言葉に甘えて……いただきます、リードさん」
そうして、私はもう一度ジョーヌベリーの果実水を味わい、その美味しさに頬を緩める事となった。