だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「俺達は今からこの荷物を持って行く所なんだよ。お前は……シルフ達の手伝いか」
「あぁ、水路整備と環境保全に関する書類仕事が回って来て、それを片付ける為に資料が必要だと言われてな。東宮の資料室に探しに行っていたんだ」

 東宮の資料室や物置といったものは基本的に同じ区画に存在する。なので、これからカイル達が向かう方面からマクベスタはやって来たのだ。

「マクベスタ様もお疲れ様です。シルフ様達の元に戻る際、厨房に寄っていただいても構いませんか? 皆様用の軽食が用意されてますので」
「分かった。気遣いに感謝するよ、メイシア嬢」

 互いに会釈して、三人はそこで別れた。
 マクベスタはメイシアに頼まれた通り厨房に寄ってシルフ達用の軽食を発見し、カイルとメイシアも目的を果たして荷物は無事運び終わった。
 メイシアは物置で少し探し物があるとかでその場に残り、カイルだけが先に部屋を出る事に。その少し後にメイシアも探し物を終え、部屋を出た。各々の仕事に戻ったのである。

 マクベスタが軽食を手にシルフ達の元へと戻ると、「おー、やっと戻って来たか」とどこか疲れた表情のエンヴィーに出迎えられた。
 マクベスタから資料と軽食を受け取り、エンヴィーは軽食を頬張りつつ資料に目を落とす。シルフは「ボクは後で食べるよ」と言って変わらず作業に勤しむ。
 アミレスに何故か不気味がられてからというもの、シルフは猫の大きさを変えて来なかったのだが…この度大きさを変えた方が仕事がしやすいという事で、わざわざ人間の子供ぐらいの大きさにまで変えた。

 その為、今の東宮ではやたらと大きい猫と異国の装束を来た美形のデスクワークという、近年稀に見る珍しい光景が見られる。
 マクベスタも最初は戸惑ったが、もう慣れたらしい。
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