だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「…………現時点で制約の破棄に同意した最上位精霊は何体だ」

 書類から目を離す事無く、ハノルメに尋ねる。

「俺含めざっと二十三体。十一体は無回答で残りの五体は今んとこ反対みたいやね」

 ハノルメは「こっちがその署名やで」と紙の束の中から一枚を抜き出して一番上に重ねた。
 署名には同意を示した最上位精霊達の名が連ねられている。しかしまだ半数近くの精霊の名が無かった。
 無回答はまだいい……今後同意を得れば良いだけだ。だが反対は駄目だ。何としてでも説得せねばならない。

「……その五体はどれだ」
「雷のエレノラ、病のシッカー、夢のロマンスド、儡のマリネ、闇のゲランディオールやな」
「面倒なのばかりじゃないか……」

 よりにもよってこの五体か、とボクは頭を抱えた。
 まずシッカーとマリネ、あれはもう説得しようとする事が間違いだと言うぐらい話が通じない。ロマンスドはいつも寝ているから、説得に行ったとして起きているか分からない。
 比較的楽なのはエレノラとゲランディオールか……とりあえずあの二人から説得しに行くか?
 いやでもアミィを待たせてしまっているし……あんまり一人にしたくない…でも流石に、少し離席してる間にそう何度も事件が起きる筈もない。きっと大丈夫だ。
 よし今すぐあの二人を説得しに行こう。最悪、権限で脅してやればいい。

「エレノラとゲランディオールの所に行くよハノルメ」
「ん、了解〜」

 ハノルメを連れて反対意見の二人の元へと急ぐ。あの二人とて話をすれば分かってくれる筈だ。
 だからすぐ終われる。一秒でも早くアミィの元に戻る為にもさっさと事を済ませよう。


 …………そう、決意して説得に行ったのに。予想以上にアイツ等頑固だったんだよな……特にエレノラが……。
 それに、まさか起こる筈もないと思ってた事件が起きてたなんて……本当にこれからはなるべくアミィの傍を離れ過ぎないようにしないと。
 こんな面白くない展開は、もう嫌だからね。
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