だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜

164.十三歳になりました。

 今日も今日とて雪が降り頻るフォーロイト帝国。その帝都にある王城は近頃ずっと大騒ぎであった。
 それもその筈。建国祭以外では十数年ぶりの王城でのパーティーが、もう一ヶ月後にまで差し迫っているからである。

 それは皇太子たるフリードルの記念すべき十五歳の誕生日を祝う、三日三晩行われるパーティー。帝国内外を問わず深い関わりあいのある賓客達や、多くの貴族達が王城に招かれて絢爛豪華なパーティーを繰り広げるのだ。
 当然、帝都でも三日三晩お祭り騒ぎとなる。そもそも、かねてより帝都では毎年フリードルの誕生日はお祭り騒ぎ状態だったので、その期間が二日のびただけである。

 このパーティーに関しては、私はほとんど関わっていない。何せ皇太子派閥の人達がそれを嫌がったのだから仕方の無い事だ。
 その代わりと言ってはなんだが、近頃はわざわざ王城にまで出向いてケイリオルさんの仕事のお手伝いをする事が増えていた。
 ケイリオルさん自身、パーティーの運営で山のように仕事が増えて結構参っていたらしく……私が仕事を手伝わせて欲しいと頼むと、拝み倒すかのような勢いで『ありがとうございます……っ』と感謝されてしまった。

 なので最近では護衛のイリオーデと世話係のメイシアを連れて、ケイリオルさんの元を訪ねるのが習慣となっていた。メイシアもイリオーデも相当目立つので、そんな二人を引き連れて歩く私にも当然注目が集まってしまう。
 まぁ、私は大体いつも『うちのメイシアとイリオーデはとっても顔が良いの! ほらもっと良く見ろ! 刮目せよ!!』と身内を自慢したくて仕方ないおばちゃんみたいな事を考えているのだけど。

 ハイラがいなくなって早二ヶ月が経とうとしているが、その間に東宮は徐々に変わり始めた。
 まず、ハイラの代わりとばかりにメイシアが私の世話係としてずっと東宮に残ってくれている。『アミレス様はわたしがお守りします!』とやけに気合いが入った彼女は、伯爵令嬢らしくまだ慣れない事の方が多いものの……それでも懸命に日々頑張っている。

 イリオーデはなんやかんやで護衛としてずっと東宮──というか私の傍にいる。厄介なお客様が東宮に来た時なんかはよく対応してくれている、クレーマー対応のスペシャリストだ。
 そしてなんと、ディオとシャルが応援に来てくれた。……というか、何やらシュヴァルツが人手欲しさに拉致って来たのだ。
 拉致られた時は当然二人共困惑していたが、今では二人共立派な掃除担当である。週三で貧民街に戻るという条件の元、二人には東宮住み込みで働かせてしまっている。

 え? 皇宮なのにこんな好き勝手外部の人を入れてもいいものかって? そりゃあ当然ケイリオルさんには許可とりましたとも。うちの私兵団の人が住み込みで働く事になったんですけどいいですか、って。
 そしたら、『まぁ、彼女の不在は大きいですからね……良いでしょう。特別に許可させていただきます』と二つ返事でオーケイ。ケイリオルさんがハイラの優秀さと不在を知ってて良かった!
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