だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「えーと……亡くなったお母様って言っても、一度も会った事も無ければ顔も知らないわ。それに──……誰も、私にお母様の事は話してくれないから、どんな人だったのかさえ知らないもの」
だからか、母の命日に対する悲しみ等はあまり無い。ただ、申し訳無いな……という気持ちだけが私の心に残る。
私の母──アーシャ・ヘル・フォーロイトは、私《アミレス》を産んですぐに亡くなった。私を産んだから母は死んだ。
それだけが、私の知る彼女の情報。それ以外は本当に何も知らないのだ。
「お母様の命日だからね、明日一日は国中がしんみりしちゃうの。だからきっと静かになるよ。きっと、明後日からはまた煩くなるんだけどね」
我慢を強いる事になってごめんね。とナトラに向けて謝ると、彼女は随分としおらしい様子で「……我、いい子じゃから、我慢出来る、のじゃ」と返事した。
しかし空気はまだ沈んだまま。それが相当耐えられないのか……この空気を何とかしようと、シュヴァルツが果敢に発言する。
「これってあの屑兄の十五歳の誕生パーティーの準備で騒がしいんだしぃ……そのうち、おねぇちゃんの誕生日にもおっきなパーティーがあるんだよね? ぼく、すっごい楽しみだなぁ!」
「う、うむ。我も楽しみじゃ! あの男よりもずっと豪勢なパーティーにせねばならんな!!」
シュヴァルツの言葉に激しく頷くナトラ。この空気を変えようと頑張ってくれている二人に現実を伝えるのは非常に心苦しいが、こればかりは私から伝えねばなるまい。
「私の誕生日にパーティーは開かれないよ。例え帝国のしきたりであっても、私の誕生日にだけはパーティーは開かれないの」
「「え……?」」
ナトラとシュヴァルツの困惑する声が重なる。そう言えば、二人には私の誕生日をまだ教えた事が無かったわね。
こんな形で教える事になって、何だか少し申し訳無いな。二人共、私の誕生日を祝ってくれるつもりだったのかもしれないし、私の誕生日は祝ってはいけないもの……と教えないとならないなんて。
「私の誕生日もね、明日なの。お母様の命日が私の誕生日──私を産んでお母様は死んでしまったから、そのどちらもが同じ日なの。だからね、私の誕生日だけは祝っちゃいけないものなんだよね」
今日は二月十五日。我が誕生日前夜という訳だ。
これでアミレスになってから誕生日を迎えるのは七回目になるけれど、毎年ハイラやシルフ達が母の命日の影でひっそりとお祝いしてくれただけだった。
大々的に私の誕生日を祝う事はタブーとなっているのだ、この国では。
それに何より、皇帝が私を嫌っている。パーティー嫌いかつアミレス嫌いの皇帝が私の誕生パーティーを開く訳がないでしょう。
「ああでも、気にしないでいいからね。いつもの事だし。なんやかんやで毎年シルフ達がこっそりお祝いしてくれてたから、別に誕生日の悲しい思い出とかも無いからさ」
はいこれでもうこの話はおしまい! と必死に話題転換を促す。無理やり話題を明るいものへと変えて、気まずい空気の中、夕食を終えた。
夕食が終わったら私は自室に戻り、仕事を少し片付けてから就寝した。明日は誕生日なんだし、今日ぐらい早寝遅起きでもいいよね……と言った甘えから。
いい夢見れるといいな。夢と言えば最近あの悪魔全然現れないな。なんて考えながら、私は深い眠りにつく。
だからか、母の命日に対する悲しみ等はあまり無い。ただ、申し訳無いな……という気持ちだけが私の心に残る。
私の母──アーシャ・ヘル・フォーロイトは、私《アミレス》を産んですぐに亡くなった。私を産んだから母は死んだ。
それだけが、私の知る彼女の情報。それ以外は本当に何も知らないのだ。
「お母様の命日だからね、明日一日は国中がしんみりしちゃうの。だからきっと静かになるよ。きっと、明後日からはまた煩くなるんだけどね」
我慢を強いる事になってごめんね。とナトラに向けて謝ると、彼女は随分としおらしい様子で「……我、いい子じゃから、我慢出来る、のじゃ」と返事した。
しかし空気はまだ沈んだまま。それが相当耐えられないのか……この空気を何とかしようと、シュヴァルツが果敢に発言する。
「これってあの屑兄の十五歳の誕生パーティーの準備で騒がしいんだしぃ……そのうち、おねぇちゃんの誕生日にもおっきなパーティーがあるんだよね? ぼく、すっごい楽しみだなぁ!」
「う、うむ。我も楽しみじゃ! あの男よりもずっと豪勢なパーティーにせねばならんな!!」
シュヴァルツの言葉に激しく頷くナトラ。この空気を変えようと頑張ってくれている二人に現実を伝えるのは非常に心苦しいが、こればかりは私から伝えねばなるまい。
「私の誕生日にパーティーは開かれないよ。例え帝国のしきたりであっても、私の誕生日にだけはパーティーは開かれないの」
「「え……?」」
ナトラとシュヴァルツの困惑する声が重なる。そう言えば、二人には私の誕生日をまだ教えた事が無かったわね。
こんな形で教える事になって、何だか少し申し訳無いな。二人共、私の誕生日を祝ってくれるつもりだったのかもしれないし、私の誕生日は祝ってはいけないもの……と教えないとならないなんて。
「私の誕生日もね、明日なの。お母様の命日が私の誕生日──私を産んでお母様は死んでしまったから、そのどちらもが同じ日なの。だからね、私の誕生日だけは祝っちゃいけないものなんだよね」
今日は二月十五日。我が誕生日前夜という訳だ。
これでアミレスになってから誕生日を迎えるのは七回目になるけれど、毎年ハイラやシルフ達が母の命日の影でひっそりとお祝いしてくれただけだった。
大々的に私の誕生日を祝う事はタブーとなっているのだ、この国では。
それに何より、皇帝が私を嫌っている。パーティー嫌いかつアミレス嫌いの皇帝が私の誕生パーティーを開く訳がないでしょう。
「ああでも、気にしないでいいからね。いつもの事だし。なんやかんやで毎年シルフ達がこっそりお祝いしてくれてたから、別に誕生日の悲しい思い出とかも無いからさ」
はいこれでもうこの話はおしまい! と必死に話題転換を促す。無理やり話題を明るいものへと変えて、気まずい空気の中、夕食を終えた。
夕食が終わったら私は自室に戻り、仕事を少し片付けてから就寝した。明日は誕生日なんだし、今日ぐらい早寝遅起きでもいいよね……と言った甘えから。
いい夢見れるといいな。夢と言えば最近あの悪魔全然現れないな。なんて考えながら、私は深い眠りにつく。