だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜

22.いざ潜入任務!

 両手を縄で縛られ、頭に布袋を被せられて私はどこかへと連れて行かれる。私の手を縛る縄は前を歩く男が握っていて、私はその男が進むままに付いていく。
 先程まで人の気配というものをあまり感じなかったのに、今はそこそこ感じる。恐らく二十人近くの人がこの空間内にいる。
 それも…………全て、女の子や幼い少年等だ。子供のすすり泣く声や、酷い暴行を受けているのか叫び声や呻き声のようなものも聞こえてくる。
 同時に聞こえてくる汚らしい男の怒号が、全てを物語っているようなものだ。
 後で助けるから、もう少しだけ我慢してて。もう辛い事が無いように私が守るから。

「おい、そいつはなんだ」
「妹の代わりに私を連れて行けとか言って出てきたから連れて来たんだ、中々の上玉だぜ」

 また突然男が立ち止まったかと思えば、誰かに話しかけられたらしい。そして会話の流れで私の顔に被せられていた布袋が取られる。
 目に映ったものは、薄暗い地下空間。左右に広がる檻とその中に囚われている子供達。そして……気色悪い笑みを浮かべる男達。

「ほぉ〜、確かに上玉だな。こりゃ売るのも勿体ねぇ……売られる前に俺達で楽しんじまおうぜ」
「俺も考えなかった訳じゃねぇんだが……これだけの上玉ならきっと子爵が欲しがるだろ? もし先に手ェ出したとバレたら絶対殺されるじゃねえか」
「あー確かにな。はァ、勿体ねぇな……」

 男は何度も私の体を上から下までじっくり眺めては、ため息をついた。
 すると縄を持つ男が縄をぐいっと引っ張って、

「おい行くぞ。お前の檻はこっちだ」

 また少し歩かされる。そして人が少ない檻の前につくと、男が檻を開けて言う。

「ここがお前の檻だ、さっさと入れ」

 私は黙ってそれに従い、檻に入る。中には四人の子供がいた。

「……普通ならもうちょっと騒ぐモンなんだがな。妹の代わりに自ら商品になろうとするとか、変わってやがる」

 男は檻に鍵をかけ、吐き捨てるように言いながらこの場を離れていった。
 ──ここは奴隷商の拠点。私は、上手い事、こうして潜入する事に成功したのだ。
 さてどうやってここまで上手い事やってのけたのか……それは遡る事数十分前…………。
< 80 / 1,399 >

この作品をシェア

pagetop