だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
 続いてはシュヴァルツとナトラ。シュヴァルツが小さな箱を渡して来て、それを開くと中には指輪が入っていた。
 えっ、と私が驚きの声を漏らすと同時に、シルフもまた「指輪ぁ!?」と驚きの声を漏らした。

「おねぇちゃんに似合うかなーと思って。綺麗でしょぉ、そのサファイア!」
「確かに凄く綺麗……ありがとうね、シュヴァルツ。こんなにも貴重そうな指輪を」
「いいよいいよぉ〜、それぐらい! おねぇちゃんに喜んで貰えたのならオールオッケーイっ」

 先程のドレスとも合いそうなサファイアの指輪を箱に納めていると、今度はナトラがプレゼントを渡そうと近づいて来て。
 何故か「少し屈むのじゃ、アミレス」と言われたので、とりあえず言う通りに屈んでみる。すると、

「我は……人間が喜ぶ贈り物とか、よく分からぬ。じゃから、我がお前に似合うと思った物を贈る事にしたのじゃ」

 私の頭の上に花冠が置かれた、らしい。取り急ぎ鏡を持って来て貰って、改めて見てみると…………銀色の私の髪に随分と映える、色とりどりの花々の冠がそこにはあった。
 無知な私が綺麗だなぁ、なんてありきたりな感想を抱いている中。マクベスタとシャルがどうしてか複雑な表情をしていて。
 どうしたの、と声をかけると二人は一度目を合わせて頷き合う。そして、マクベスタが代表して話し始めたのだ。

「そんな意図は無いと思うんだが、その花冠に使われている花々の花言葉が……その、気になってな」
「花言葉?」

 そう言えば、マクベスタとシャルは花に詳しいんだった。
 しかし花言葉か…………毒のある花は一通り調べたから花言葉も分かるんだけど、この花々はそれに該当しないから分からないな。

「水色のトキロ、花言葉は長命。薄桃色のモモミラス、花言葉は親愛。黄色のナキメイロ、花言葉は最後を共に。橙色のモルフォルス、花言葉はわたしはあなたのもの。青色のカーラ、花言葉は死の克服。白色のカーラ、花言葉は永遠の夢。……以上がその花々の花言葉だ。ただの偶然にしては、あまりにも傾向が不穏で気になったんだ」

 マクベスタがナトラに視線を送る。それに釣られて私もチラリとナトラの方を見ると、そこでナトラと目が合った。見た目は可愛らしい少女なのに……その瞳と纏う空気が、未だかつて無い程に人ならざる化け物なのだと感じさせる。
 いやまさかナトラに限ってそんな……なんてタカを括っていたのだが、ナトラは可愛くニコリと笑って、

「無論、意図的にこの花を選んだのじゃ。だって我、アミレスには死んで欲しくないからの。これはおまじないというやつじゃ!」

 まさかのカミングアウトをした。なんと意図的にあの不穏な花言葉をセレクトしていたらしい。
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