だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
手元でかなりの熱を発するサベイランスちゃんに視線を落とす。マップからはかなりの数の魔力炉の熱源が減っており、その中でも今にも消えてしまいそうな弱々しい熱源が船内に点在している。
「うーむ……なんかこの辺に二、三個ぐらい集まってんなぁ……」
俺の現在位置よりかなり離れた所に、数人分の魔力炉の熱源が見られた。
海賊だったら面倒だけど、行くしかないよな。攫われた人達を助けろってアミレスから頼まれてるし……。
「はぁ……しゃあねぇな、元より頭痛は覚悟の上だ。やれる限りの事はやってやろうじゃん」
首をポキポキと鳴らして、俺はサベイランスちゃんを介する事なく、自分で発動した風の魔力でサベイランスちゃんを浮遊させた。このまま持ってたら本当に左手が火傷しそうなのだ。
それに加えて、魔力の過剰消費といくつもの魔力属性の同時使用で、いくらサベイランスちゃんを介していようとも体調不良が加速する。
このままだと確実に酷い頭痛に襲われるが、これもアイツの頼みだ……多少の体調不良は我慢して、寧ろ体調不良を加速させるレベルで魔法を使う事に決めた。
それ故に、これまで手に持っていたサベイランスちゃんを浮かせた。火傷したくないのと、冷却したかったからだ。
浮かせるだけでも魔力を消費するので、普段なら魔力を消費したくないからとこんな事はやらないんだが、少しでも風に当てるなどして冷却しないとサベイランスちゃんに良からぬ影響が出そうなのだ。
まぁつまり、サベイランスちゃんに使ってる魔石が壊れかねないって事だ。壊れたら色々と困るので、体調不良も覚悟の上で自分でも魔法を使う事にしたんだよな。
「何せアイツが俺を頼ってくれたんだ。頭痛も吐き気も全部我慢してやるっての」
フォーロイトに軽率に遊びに行くようになって、マクベスタとかメイシアとかイリオーデとか……アミレスの周りの奴等とも関わるようになって、俺は色々とアイツの話を聞いたりもした。
それは、頑なに大人を頼ろうとしない子供の事。
少しは周りに頼ろうともするのだが、大事な事や危険な事に限っては全く頼ろうとせず、全部一人で抱え込んで全部一人で何とかしようとする馬鹿の事。
正直、これまではアイツ等の語るアミレス像も『いやいや、言う程……』と思っていたのだが、昨日見たアミレスの利他主義的な価値観が、アイツ等の語ったアミレス像と一致してしまった。
イカれた利他主義人間。目的の為なら、命以外の己の全ての犠牲を許容するような怪物。
周りを大事に思ってしまったが為に、自分以外を犠牲にする選択肢を失い自分を犠牲にするしかなくなった馬鹿な女。
そんなアイツが、何かをする前に他人を頼った。それだけで俺が動く理由になる。共犯者《なかま》として俺が罪を犯す動機になる。
たった一人の俺の理解者。同じ視点や同じ価値観を共有出来る仲間。今も前世《むかし》も俺の方が歳上みたいだし、何かと危なっかしいアイツの事は守ってやらねぇとなって思ってた。
多分、昼間のあの時点で俺から『殺るなら夜か』って切り出さなかったら……アイツの事だし一人で何とかしようとしただろうな。俺が寝てる隙に一人で、って。
それを阻止する為に先回りして今こうなってるんだ。弱音なんて吐いてる場合じゃねぇよな。
あの馬鹿が自分を犠牲にしないで済むように動くのが共犯者の役目だ。アイツが頼ってくれた以上、俺は全力を賭す。目指せハッピーエンド同盟として当然の事だ。
「ッ……あぁクソ、もう頭痛が……っ」
まるで噴水かのように常に放出、消費され続ける俺の魔力。ごっそりとサベイランスちゃんと我が体内から魔力が抜けてゆき、貧血のような症状に襲われる。
痛い。頭が痛い。まだマシだけど、このままサベイランスちゃんを使い続けてたら、下手すりゃ立ってられないレベルの頭痛や目眩やらに襲われる事だろう。
船内を全力疾走していたから、一歩進む事に頭痛がよく響く。奥歯を噛み締めてそれを我慢し、サベイランスちゃんに表示されている場所に向かう。
目的地に近づいた。一旦、船全体のスキャンを止めてマップだけを表示する。それでも頭痛が和らぐ事は無い。
「うわ、何だよこれ……」
今度は厳重な扉とかではなかった。だから普通に、顔の汗を少し拭ってから扉を開いた。するとそこには──ボロボロの体で力なくベットの上で横たわる、全裸の女が三人いた。
部屋に充満する嫌な臭いに体が拒否反応を示す。心の底から沸いて出るような生理的嫌悪。体調不良も相まって、吐き気がした。
口元を押さえつつ、嫌々部屋に足を踏み入れて女に話しかける。
「……なぁ、アンタ等は攫われた人達で間違いないな?」
ベットから適当な布を剥ぎ取り、女達に掛ける。直視すればする程吐き気が増すものだから、早く何かで体を覆って欲しかったのだ。
横たわる女達は虚ろな瞳から涙を流しているだけで、返事一つしない。……相当、めちゃくちゃに陵辱されたんだな。こんなボロボロな人形みたいになるまで。
「仕事、これも仕事だから……仕方ない……」
本当は凄く嫌だけど、さっき適当に掛けただけの布を手に取り、女達をぐるぐる巻きにしてやる。今にも吐きたい気持ちを必死に堪えながら、その三人を運んで一箇所に並べた。
そして、俺は今一度サベイランスちゃんを使用する。
「うーむ……なんかこの辺に二、三個ぐらい集まってんなぁ……」
俺の現在位置よりかなり離れた所に、数人分の魔力炉の熱源が見られた。
海賊だったら面倒だけど、行くしかないよな。攫われた人達を助けろってアミレスから頼まれてるし……。
「はぁ……しゃあねぇな、元より頭痛は覚悟の上だ。やれる限りの事はやってやろうじゃん」
首をポキポキと鳴らして、俺はサベイランスちゃんを介する事なく、自分で発動した風の魔力でサベイランスちゃんを浮遊させた。このまま持ってたら本当に左手が火傷しそうなのだ。
それに加えて、魔力の過剰消費といくつもの魔力属性の同時使用で、いくらサベイランスちゃんを介していようとも体調不良が加速する。
このままだと確実に酷い頭痛に襲われるが、これもアイツの頼みだ……多少の体調不良は我慢して、寧ろ体調不良を加速させるレベルで魔法を使う事に決めた。
それ故に、これまで手に持っていたサベイランスちゃんを浮かせた。火傷したくないのと、冷却したかったからだ。
浮かせるだけでも魔力を消費するので、普段なら魔力を消費したくないからとこんな事はやらないんだが、少しでも風に当てるなどして冷却しないとサベイランスちゃんに良からぬ影響が出そうなのだ。
まぁつまり、サベイランスちゃんに使ってる魔石が壊れかねないって事だ。壊れたら色々と困るので、体調不良も覚悟の上で自分でも魔法を使う事にしたんだよな。
「何せアイツが俺を頼ってくれたんだ。頭痛も吐き気も全部我慢してやるっての」
フォーロイトに軽率に遊びに行くようになって、マクベスタとかメイシアとかイリオーデとか……アミレスの周りの奴等とも関わるようになって、俺は色々とアイツの話を聞いたりもした。
それは、頑なに大人を頼ろうとしない子供の事。
少しは周りに頼ろうともするのだが、大事な事や危険な事に限っては全く頼ろうとせず、全部一人で抱え込んで全部一人で何とかしようとする馬鹿の事。
正直、これまではアイツ等の語るアミレス像も『いやいや、言う程……』と思っていたのだが、昨日見たアミレスの利他主義的な価値観が、アイツ等の語ったアミレス像と一致してしまった。
イカれた利他主義人間。目的の為なら、命以外の己の全ての犠牲を許容するような怪物。
周りを大事に思ってしまったが為に、自分以外を犠牲にする選択肢を失い自分を犠牲にするしかなくなった馬鹿な女。
そんなアイツが、何かをする前に他人を頼った。それだけで俺が動く理由になる。共犯者《なかま》として俺が罪を犯す動機になる。
たった一人の俺の理解者。同じ視点や同じ価値観を共有出来る仲間。今も前世《むかし》も俺の方が歳上みたいだし、何かと危なっかしいアイツの事は守ってやらねぇとなって思ってた。
多分、昼間のあの時点で俺から『殺るなら夜か』って切り出さなかったら……アイツの事だし一人で何とかしようとしただろうな。俺が寝てる隙に一人で、って。
それを阻止する為に先回りして今こうなってるんだ。弱音なんて吐いてる場合じゃねぇよな。
あの馬鹿が自分を犠牲にしないで済むように動くのが共犯者の役目だ。アイツが頼ってくれた以上、俺は全力を賭す。目指せハッピーエンド同盟として当然の事だ。
「ッ……あぁクソ、もう頭痛が……っ」
まるで噴水かのように常に放出、消費され続ける俺の魔力。ごっそりとサベイランスちゃんと我が体内から魔力が抜けてゆき、貧血のような症状に襲われる。
痛い。頭が痛い。まだマシだけど、このままサベイランスちゃんを使い続けてたら、下手すりゃ立ってられないレベルの頭痛や目眩やらに襲われる事だろう。
船内を全力疾走していたから、一歩進む事に頭痛がよく響く。奥歯を噛み締めてそれを我慢し、サベイランスちゃんに表示されている場所に向かう。
目的地に近づいた。一旦、船全体のスキャンを止めてマップだけを表示する。それでも頭痛が和らぐ事は無い。
「うわ、何だよこれ……」
今度は厳重な扉とかではなかった。だから普通に、顔の汗を少し拭ってから扉を開いた。するとそこには──ボロボロの体で力なくベットの上で横たわる、全裸の女が三人いた。
部屋に充満する嫌な臭いに体が拒否反応を示す。心の底から沸いて出るような生理的嫌悪。体調不良も相まって、吐き気がした。
口元を押さえつつ、嫌々部屋に足を踏み入れて女に話しかける。
「……なぁ、アンタ等は攫われた人達で間違いないな?」
ベットから適当な布を剥ぎ取り、女達に掛ける。直視すればする程吐き気が増すものだから、早く何かで体を覆って欲しかったのだ。
横たわる女達は虚ろな瞳から涙を流しているだけで、返事一つしない。……相当、めちゃくちゃに陵辱されたんだな。こんなボロボロな人形みたいになるまで。
「仕事、これも仕事だから……仕方ない……」
本当は凄く嫌だけど、さっき適当に掛けただけの布を手に取り、女達をぐるぐる巻きにしてやる。今にも吐きたい気持ちを必死に堪えながら、その三人を運んで一箇所に並べた。
そして、俺は今一度サベイランスちゃんを使用する。