とあるヒロインと悪役令嬢の顛末〜悪役令嬢side
ワルター王子が帰って、それぞれ言葉少なく自室に戻った。
私は、ワルター王子が言っていた、ミクの最後の言葉について考えていた。
私の部屋で、『ごめんなさい』……
私は、確信する。
ミクは、気がついたのだ。
自分の『能力』に。
自分が壊したものの、本当の意味を知ったのだ。
無理矢理変えさせた、他人の『意思』『感情」……
今まで、考えたこと、なかった。
『魅了』を持つということは。
———他人を信じられなくなるということだ。
こんな孤独——普通の女の子に、耐えられるはずがない。
胸が、苦しくなる。
心臓が、鷲掴みされたよう。
———私は、間違えたのではないか。
『魅了』を見誤って、「皆んなに好かれていいね~」くらいにしか思わなかった。
本当に側に居て助けるべきは、実はミクだったのではないか。
『魅了』について、恐れずに本人に話すべきではなかったのか。
——いや、私は神様ではない。
あの状況で、彼女に話して、納得してもらうのは至難の業……ううん、上手く行っている状況でそれを告げても、ただの嫌がらせと捉えられかねない。
確かに、私はあの時出来ることは全てやった。
だから——これから、どうするか、だ。