オリオンの夜明け〜一生大切にするから〜
「わぁ、未央ちゃん!すっごく美味しそう!私の好きな物ばっかり」

嬉しそうな星香を見ながら、エプロンを外しながら、未央が微笑んだ。

「さ、座って、乾杯しましょ」

俺の隣に星香が座り、星香の真向かいに未央が座る。俺と未央はグラスビールに手をかけ、星香は、オレンジジュースを手に取った。

「星香、お誕生日おめでとう」
「星香、おめでとう」
「パパ、未央ちゃん、有難う」

グラス同士を重ねると、俺は一気に飲み干した。いつも明香の誕生日祝いの時も乾杯の後は、俺と冬馬は一気飲みだったから。

「ちょっとパパ、飲み過ぎないでよね」

星香の口を尖らす顔は、明香そっくりだ。

「分かってるよ、今日は特別だから」 

頭をくしゃっと撫でると明香が、少しだけ恥ずかしそうに、はにかんだ。

「もう、パパはすぐ子供扱いするんだから。私だって春からは、中学生なんだよ」

「星香が中学生か、早いわね、春樹」

未央が、星香が美味しそうにハンバーグを頬張るのを眺めながら、唇を持ち上げた。

「本当にな、オムツ姿が懐かしいな」

今度こそ頬を膨らませた星香を見ながら、俺は未央の注いでくれた二杯目のビールをに口をつけた。
< 5 / 15 >

この作品をシェア

pagetop