彼はB専?!
「猫カフェで恋しちゃおうねこんかつ☆」
ねこんかつ会場「キャット×キャット」は、お洒落な猫カフェだった。
今回の婚活パーティのキャッチコピーは
「猫カフェで恋しちゃおうねこんかつ☆」
どこに句読点を付ければいいのかまったくわからない。
恐る恐るその猫カフェの透明な扉を開けると、赤いルージュの印象的な女性が、私に軽くお辞儀をしながら声を掛けた。
「お名前、お伺いしてもよろしいですか?」
「幸田ミチルです。」
受付の女性は名簿をチェックするとにっこりと笑い、番号の書かれたバッチを手渡してきた。
「はい。承っております。どうぞ、中へ。そのバッチは胸にお付け下さいね。」
私のバッチの番号は7番だった。ラッキーセブンで、ちょっと嬉しい。
受付カウンターの横には、マグカップやポストカードなどの可愛い猫グッズが置いてある。
どれもリーズナブルな値段で、帰りに買って帰ろう、と思った。
部屋の中には、もう数人の男女が、気ままに動き歩く猫達に熱い視線を送っていた。
真紀からの情報によると、男性が25歳から35歳まで、女性が20歳から30歳まで、そして猫及び動物好きな人、というのが今回のねこんかつの参加条件だという。
店内は白い壁に猫達が飛び乗る棚板やキャットタワーが設置され、本棚には猫の写真集が飾られている。
猫達はざっと見たところ十数匹といったところだろうか。
黒猫、白猫、三毛猫、マリモと同じミックスなど、多種多様な猫達がソファの下や椅子の上など所かまわず闊歩していて、思わず目が吸い寄せられる。
「可愛い・・・♡」
思わずそんな言葉が飛び出てしまい、あわてて口を手の平で塞いだ。
猫カフェは初めてではないけれど、これだけ多くの猫を愛でる機会はそうそうないので、やっぱりテンションが上がってしまう。
私が肩をすくめながらひっそりとソファに座ると、隣に座っていたショートカットでふくよかな女性がひそひそ声で話しかけてきた。
「・・・もしかして緊張してます?」
「あ、はい。少し。」
私はそう言って愛想笑いをしてみせた。
「婚活パーティ、初めて?」
「はい。恥ずかしながら。」
「私はもう10回目かな。男性が年収800万以上限定とか医者や弁護士限定婚活パーティとかBBQ婚活とか女性ぽっちゃり限定婚活とか、もう色々参加したわ。でも中々いい人に出会えなくて。」
「そういうものですか。」
たしかにこういったご縁は頑張ったからといって、すぐに実を結ぶわけではないのかもしれない。
「私、甘城貴美子。よろしくね。」
「私は・・・幸田ミチルです。よろしくお願いします。」
偽名を使うのは心苦しいけれど、今日ばかりは仕方がない。
しばらくすると人が集まりだし、全ての椅子が埋まった。
「あ、そろそろ始まるみたい。」
ソファに女性10人、テーブルの向かいの椅子に座る男性10人。
これが本日の参加者全員みたいだ。
男性陣を見渡してみると、猫好きという先入観があるからか、どの人もどことなく優し気に見える。
仕切り役のスタッフが、おもむろに声を張り上げた。
「えー皆さま!お時間が来ましたので、
『猫カフェで恋しちゃおうねこんかつ☆』
を始めたいと思います!ワタクシ司会の山岸と申します。よろしくお願いします。」
参加者がカジュアルな服装ばかりの中、一人グレーのスーツを着た山岸さんが、にこやかに参加者の顔を見渡した。
「では順番に軽く自己紹介して頂きましょうか。一番右端の方からどうぞ!」
私の前に座っている銀縁眼鏡の男性が立ち上がり、名前と年齢、趣味、そして愛猫の紹介などを話して再び椅子に腰かけた。
他の参加者からの拍手が鳴り響く。
一人また一人男性が立ち上がり、自己紹介を述べていく。
趣味が読書や映画鑑賞といった、インドア派の男性が多く、ほとんどの人が猫を飼っている。
今回の婚活パーティのキャッチコピーは
「猫カフェで恋しちゃおうねこんかつ☆」
どこに句読点を付ければいいのかまったくわからない。
恐る恐るその猫カフェの透明な扉を開けると、赤いルージュの印象的な女性が、私に軽くお辞儀をしながら声を掛けた。
「お名前、お伺いしてもよろしいですか?」
「幸田ミチルです。」
受付の女性は名簿をチェックするとにっこりと笑い、番号の書かれたバッチを手渡してきた。
「はい。承っております。どうぞ、中へ。そのバッチは胸にお付け下さいね。」
私のバッチの番号は7番だった。ラッキーセブンで、ちょっと嬉しい。
受付カウンターの横には、マグカップやポストカードなどの可愛い猫グッズが置いてある。
どれもリーズナブルな値段で、帰りに買って帰ろう、と思った。
部屋の中には、もう数人の男女が、気ままに動き歩く猫達に熱い視線を送っていた。
真紀からの情報によると、男性が25歳から35歳まで、女性が20歳から30歳まで、そして猫及び動物好きな人、というのが今回のねこんかつの参加条件だという。
店内は白い壁に猫達が飛び乗る棚板やキャットタワーが設置され、本棚には猫の写真集が飾られている。
猫達はざっと見たところ十数匹といったところだろうか。
黒猫、白猫、三毛猫、マリモと同じミックスなど、多種多様な猫達がソファの下や椅子の上など所かまわず闊歩していて、思わず目が吸い寄せられる。
「可愛い・・・♡」
思わずそんな言葉が飛び出てしまい、あわてて口を手の平で塞いだ。
猫カフェは初めてではないけれど、これだけ多くの猫を愛でる機会はそうそうないので、やっぱりテンションが上がってしまう。
私が肩をすくめながらひっそりとソファに座ると、隣に座っていたショートカットでふくよかな女性がひそひそ声で話しかけてきた。
「・・・もしかして緊張してます?」
「あ、はい。少し。」
私はそう言って愛想笑いをしてみせた。
「婚活パーティ、初めて?」
「はい。恥ずかしながら。」
「私はもう10回目かな。男性が年収800万以上限定とか医者や弁護士限定婚活パーティとかBBQ婚活とか女性ぽっちゃり限定婚活とか、もう色々参加したわ。でも中々いい人に出会えなくて。」
「そういうものですか。」
たしかにこういったご縁は頑張ったからといって、すぐに実を結ぶわけではないのかもしれない。
「私、甘城貴美子。よろしくね。」
「私は・・・幸田ミチルです。よろしくお願いします。」
偽名を使うのは心苦しいけれど、今日ばかりは仕方がない。
しばらくすると人が集まりだし、全ての椅子が埋まった。
「あ、そろそろ始まるみたい。」
ソファに女性10人、テーブルの向かいの椅子に座る男性10人。
これが本日の参加者全員みたいだ。
男性陣を見渡してみると、猫好きという先入観があるからか、どの人もどことなく優し気に見える。
仕切り役のスタッフが、おもむろに声を張り上げた。
「えー皆さま!お時間が来ましたので、
『猫カフェで恋しちゃおうねこんかつ☆』
を始めたいと思います!ワタクシ司会の山岸と申します。よろしくお願いします。」
参加者がカジュアルな服装ばかりの中、一人グレーのスーツを着た山岸さんが、にこやかに参加者の顔を見渡した。
「では順番に軽く自己紹介して頂きましょうか。一番右端の方からどうぞ!」
私の前に座っている銀縁眼鏡の男性が立ち上がり、名前と年齢、趣味、そして愛猫の紹介などを話して再び椅子に腰かけた。
他の参加者からの拍手が鳴り響く。
一人また一人男性が立ち上がり、自己紹介を述べていく。
趣味が読書や映画鑑賞といった、インドア派の男性が多く、ほとんどの人が猫を飼っている。