彼はB専?!
しばらくして、今度はダースベーダーの着信音が鳴り響いた。

真紀からの電話だ。

「もしもし。」

「あ、ちさ?今日はありがとね~。猫のエサ貰えたでしょ?山岸君も助かったって言ってたよ!」

「・・・・・・真紀。私、告られちゃったよ。」

「どうしたの?どっかの御曹司に見初められたとか?」

「会費4千円の婚活パーティに御曹司が来るわけないでしょ~がぁ~。」

「じゃあ何だって言うのよ。」

私は今日の出来事を誰かに聞いてもらいたくて、事の顛末を真紀に話してしまった。

新たな黒歴史を真紀に握られてしまったとしても、自分一人で考えるには、最早キャパオーバーだった。



私の話を聞いた真紀は、思った通り大笑いした。

「アハハハハ!なに、その面白い展開。」

「笑いごとじゃないんだってば~。もうどうしたらいいかわからない!」

「ね。そのイケメン課長ってさ。きっとアレだよ。」

「え?アレ?」

「だから~。」

「だから、なに?!」

「B専ってこと!」

「B専?」

「そう。ブスが好きな男。」

「和木坂課長がB専・・・?」

「けっこうイケメンに多いらしいよ~。美人は三日で飽きるっていうじゃない。」

「・・・そう、なのかな?」

「それに平凡で何の特徴もないよりは、ブスの方がインパクトあるのかもよ?アンタ、臼井ちさで行かなくて正解だったかも。」

「でも、いつまでも幸田ミチルでいるわけにはいかないよ・・・」

「そうね。タイミングを見計らって、正体を明かすしかないわね。そこでフラれるか関係が続くかは、ちさ、アンタ次第よ。」

「そ、そんな・・・。」

「ま、頑張って!それじゃあね。」

言いたいことだけ言って、真紀は通話を切ってしまった。

・・・じゃあこの前給湯室で本木さんと森園さんが言ってた『アレ』ってB専ってこと?!




ネットでB専男性と検索し、ブスを好きになる男性の心理を探ってみた。





「B専男性の特徴」



① 過去に美人な彼女と付き合い、浮気されたり利用されたというトラウマがある。その点ブスと付き合えばその心配は少なくなる。

② 内面重視の為、外見を重視しない。

③ ブスと付き合うことで優越感を持っていたい

④ ブスは性格がいいし尽くしてくれると思っている

⑤ そもそも美人に興味がない



和木坂課長はもしかして、このどれかに当てはまるのだろうか?

「うーん。きっと②か⑤だと信じたい・・・。」



そのとき、またピロピロリン♪とラインの通知がなった。

和木坂課長からだった。



(今度の水曜日はどう?美味しい生牡蠣を食べさせてくれるバーがあるんだ。)



幸田ミチルが消えたら、和木坂課長からのお誘いなんて、もう一生ないだろう。

・・・一回だけ。

一回だけ会って、幸田ミチルは消えるから。

他に好きな人がいるって言って、お付き合いを断るから。

だから、もう一回だけ夢を見させて・・・。

私は返信のメッセージを打ち込んだ。


(大丈夫です。その時にこの間のお返事をします。)







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