彼はB専?!
いそっぷ橋を渡ると、不忍池が見えた。
ペンギン、カンガルー、フラミンゴ・・・。
そして私の一番好きな動物、キリンが見えてきた。
「わあ。」
私はその長い首を持つ背の高い動物を見上げた。
「キリン、好きなの?」
「はい!知ってます?キリンってあんなに首が長いのに、首の骨の数は人間と同じ7個しかないんですよ?」
「へえ。知らなかった。・・・じゃあ、これは知ってる?キリンの求愛行動。」
「?」
「オスとメス、互いに首を絡ませるんだって。俺達も絡ませない?」
「え?」
和木坂課長は私の腕をとると、自分の腕に絡ませた。
「これならはぐれることもないだろ?」
「・・・・・・。」
「迷惑かな?」
「迷惑・・・じゃないです。」
絡まって触れる肌が熱い。
「それと・・・、ラッコの求愛行動は知ってる?」
「ふふっ。また求愛行動ですか?」
「オスがメスの鼻を噛むんだって。」
「えー!痛そう!。」
「痛いかどうか、確かめてみる?」
「え?」
和木坂課長は柵に手をついたまま身体を私の顔の前まで屈みこみ、私の鼻を軽く噛んだあと、その唇を私の唇に押し付けた。
突然の出来事にびっくりして、おもわず目を見開いてしまう。
その口づけはミントの味がした。
ゆっくりと和木坂課長の伏し目がちな顔が離れ、私達はみつめあった。
「・・・・・!!」
「ごめん。返事ももらっていないのに、こんなことして。でもミチルちゃんの嬉しそうな笑顔をみてたら、抑えきれなくて。」
そう言うと、和木坂課長は照れ臭そうに笑った。
こんなの困る。
だって・・・もっと好きになってしまうよ。
「あ。」
急に和木坂課長が真顔になった。
「?」
おもむろに和木坂課長はバッグの中からポケットテッシュを取り出した。
「ミチルちゃん。少し目を瞑っていて。」
「は、はい。」
私が言われた通り目を瞑ると、和木坂課長は私の眼鏡を外した。
私のまぶたに冷たいなにかが触れた。
「???」
「ミチルちゃんのまぶたの上に、なにか黒いモノが付いている。今、拭き取ってあげるから。」
ん?拭き取る??
ポケットテッシュだと思っていたものは、ウエットティッシュだった。
「わーーー!!」
私は瞑っていた目を開け、両手で顔を隠した。
化粧が取れてしまう!
「ミチルちゃん、どうしたの?」
「大丈夫です!自分で拭き取りますから!」
私はあわててその場を離れ、トイレを探し、鏡を覗きこんで自分の顔を確認した。
心配するほどメイクは取れていなかったので、ひとまずホッとした。
はあ~。
色んな意味で、もう心臓が持たないよ。
和木坂課長は、ベンチに座って私を待っていてくれた。
「すみません・・・お待たせしてしまって。」
「いいよ。目の上の汚れ、取れた?」
「はい。」
私は和木坂課長の隣に座った。
「けっこう歩いたから疲れただろ。少し休もうか。」
「は、はい。」
二人の間に沈黙が落ちる。
お付き合いを断るなら、今が絶好のチャンスなんじゃない?
さあ。ちさ、言うのよ。
お付き合いできませんって。
他に好きな人がいるって。
「あの・・・和木坂さん。」
「ん?」
「私・・・あの・・・今後のお付き合いのことなんですけど・・・。」
「うん。」
「あの・・・私・・・その・・・他に好」
「待って!」
その大きく激しい声に、私の身体はビクっと震え上がった。
「そんなに結論を急がなくてもいいよ。」
「・・・っ」
和木坂課長は視線を、目の前の檻の中にいるカンガルーに向けながら淡々と言った。
「今は友達でもいい。だから俺を切り捨てないで。」
「・・・切り捨てるだなんて・・・」
「俺からまだチャンスを奪わないで欲しい。」
・・・もう、無理。
これ以上、自分の心に嘘は付けない。
私は俯いていた顔を上げ、和木坂課長の瞳に訴えた。
「私も・・・私も、和木坂さんが、好きです。」
ペンギン、カンガルー、フラミンゴ・・・。
そして私の一番好きな動物、キリンが見えてきた。
「わあ。」
私はその長い首を持つ背の高い動物を見上げた。
「キリン、好きなの?」
「はい!知ってます?キリンってあんなに首が長いのに、首の骨の数は人間と同じ7個しかないんですよ?」
「へえ。知らなかった。・・・じゃあ、これは知ってる?キリンの求愛行動。」
「?」
「オスとメス、互いに首を絡ませるんだって。俺達も絡ませない?」
「え?」
和木坂課長は私の腕をとると、自分の腕に絡ませた。
「これならはぐれることもないだろ?」
「・・・・・・。」
「迷惑かな?」
「迷惑・・・じゃないです。」
絡まって触れる肌が熱い。
「それと・・・、ラッコの求愛行動は知ってる?」
「ふふっ。また求愛行動ですか?」
「オスがメスの鼻を噛むんだって。」
「えー!痛そう!。」
「痛いかどうか、確かめてみる?」
「え?」
和木坂課長は柵に手をついたまま身体を私の顔の前まで屈みこみ、私の鼻を軽く噛んだあと、その唇を私の唇に押し付けた。
突然の出来事にびっくりして、おもわず目を見開いてしまう。
その口づけはミントの味がした。
ゆっくりと和木坂課長の伏し目がちな顔が離れ、私達はみつめあった。
「・・・・・!!」
「ごめん。返事ももらっていないのに、こんなことして。でもミチルちゃんの嬉しそうな笑顔をみてたら、抑えきれなくて。」
そう言うと、和木坂課長は照れ臭そうに笑った。
こんなの困る。
だって・・・もっと好きになってしまうよ。
「あ。」
急に和木坂課長が真顔になった。
「?」
おもむろに和木坂課長はバッグの中からポケットテッシュを取り出した。
「ミチルちゃん。少し目を瞑っていて。」
「は、はい。」
私が言われた通り目を瞑ると、和木坂課長は私の眼鏡を外した。
私のまぶたに冷たいなにかが触れた。
「???」
「ミチルちゃんのまぶたの上に、なにか黒いモノが付いている。今、拭き取ってあげるから。」
ん?拭き取る??
ポケットテッシュだと思っていたものは、ウエットティッシュだった。
「わーーー!!」
私は瞑っていた目を開け、両手で顔を隠した。
化粧が取れてしまう!
「ミチルちゃん、どうしたの?」
「大丈夫です!自分で拭き取りますから!」
私はあわててその場を離れ、トイレを探し、鏡を覗きこんで自分の顔を確認した。
心配するほどメイクは取れていなかったので、ひとまずホッとした。
はあ~。
色んな意味で、もう心臓が持たないよ。
和木坂課長は、ベンチに座って私を待っていてくれた。
「すみません・・・お待たせしてしまって。」
「いいよ。目の上の汚れ、取れた?」
「はい。」
私は和木坂課長の隣に座った。
「けっこう歩いたから疲れただろ。少し休もうか。」
「は、はい。」
二人の間に沈黙が落ちる。
お付き合いを断るなら、今が絶好のチャンスなんじゃない?
さあ。ちさ、言うのよ。
お付き合いできませんって。
他に好きな人がいるって。
「あの・・・和木坂さん。」
「ん?」
「私・・・あの・・・今後のお付き合いのことなんですけど・・・。」
「うん。」
「あの・・・私・・・その・・・他に好」
「待って!」
その大きく激しい声に、私の身体はビクっと震え上がった。
「そんなに結論を急がなくてもいいよ。」
「・・・っ」
和木坂課長は視線を、目の前の檻の中にいるカンガルーに向けながら淡々と言った。
「今は友達でもいい。だから俺を切り捨てないで。」
「・・・切り捨てるだなんて・・・」
「俺からまだチャンスを奪わないで欲しい。」
・・・もう、無理。
これ以上、自分の心に嘘は付けない。
私は俯いていた顔を上げ、和木坂課長の瞳に訴えた。
「私も・・・私も、和木坂さんが、好きです。」