大好きな人とお別れしたのは、冬の朝でした
「私たちの息子よ? ふたりの子なの」
「ああ、大切に育てよう」
詩織から離れた瞬は、もういつもの彼だった。
「心配はいらないよ、男性機能は正常だから」
「あ! それは……」
はっきり口にされると、詩織は狼狽えた。もう何年も瞬と触れ合っていなかったことが思い出されたのだ。
「明日にでも籍を入れようか」
「え? 明日?」
「もう一日だって待てないんだ。翔琉の父親として認められたい」
ああ、この人は変わってないなと詩織は可笑しくなってきた。
「ウフフ……」
「どうした?」
「私の大好きなあなただなって、思っただけよ」
「大好き? 愛してるだろ」
彼の言葉がストンと素直に詩織の心に響いてくる。
「ええ、そうね」
「愛しているよ、詩織」
チュッと詩織の頬にキスが落ちてきた。
「私もよ」
詩織は彼の唇に短いキスをする。
「愛しています」
それからは、ふたりだけの甘い時間の始まりだ。