大好きな人とお別れしたのは、冬の朝でした
急に瞬の態度がソフトになった。
悠斗はその変化に戸惑っているようだし、詩織は瞬の意図がわからなくて言葉が出ない。
「パーソナルトレーニングを詩織さんにお願いしているものですから、お見掛けしたので声をかけてしまいました」
「そうでしたか」
瞬が笑顔で話すと、悠斗も少しホッとした顔を見せた。
「おふたりはこれからお出かけですか?」
「いえ、詩織さんを家までお送りするところです」
「それなら、私がお送りしますよ。丁度トレーニングの日程のことで連絡をしようと思っていたところなので」
詩織の思いとは裏腹に、男性ふたりはどんどん話を進めていく。
「そうですか? 詩織さん、それでよろしいですか」
「あ、あの」
「では、ここで失礼します」
瞬が強引に話をまとめてしまった。
「じゃあ、詩織さん。またご連絡しますね」
「はい。お待ちしています」
爽やかな笑顔を残して、悠斗は帰っていった。