大好きな人とお別れしたのは、冬の朝でした
突然の別れ
年末はお互いに忙しくてゆっくりと会う時間は取れなかったが、年明けからは少しずつふたりの関係は変化していった。
瞬の希望通り、横浜で待ち合わせをしてデートを楽しむ。
時には拓斗も一緒に海華楼へ食事に行ったし、ふたりで横浜のホテルに泊まったりもした。
こんな時、実家を出てひとり暮らしをしていたことが役に立つ。
両親にも彩絵の目にも触れることなく、瞬との時間を持つことが出来るのだ。
瞬は相変わらす情熱的に詩織を求めてくる。
そして、詩織が瞬の身体に触ることをとても喜んでくれる。
「まさにゴットハンドだな」
わけのわからない感想を言いながら、瞬の方こそ詩織を夢中にさせるのだ。
(こんな時間がずっと続いていくのかしら)
ふたりだと、どんな小さなことでも話せるし笑顔でいられる。
早く瞬の仕事が落ち着いて、誰の目も気にすることなく会えるようになりたかった。
「もう少ししたらキャンペーンが落ち着くんだ。二月になったらゆっくり泊りがけで出かけようか」
「嬉しい! 温泉かな? スキーかな?」
「両方楽しめる場所を探そう。北海道もいいな」
そんな会話をベッドで交わしながら、ふたりだけで過ごす温かい時間が流れた。