大好きな人とお別れしたのは、冬の朝でした
翔琉の成長は目覚ましい。
歩けるようになり、ママと呼んでくれるようになり、保育園で色々と覚えてくるようになった。
詩織との会話も成り立つようになってきたと思ったら指先も器用になって、いたずらも増えてきた。
とても活発な子で、じっとしているのは苦手なのか保育園でも名前の通り駆け回っているようだ。
園ではその月に生まれた子を祝ってくれるので、十月生まれの翔琉のお誕生会ももうすぐだ。
「今日、お誕生会?」
「かあくん、園のお誕生会は来週の金曜日だよ」
翔琉はお誕生会がとても楽しみなのか、毎朝こんな会話を交わしながら自転車に乗せている。
子どもをすっぽり乗せられるタイプの自転車を奮発したので、翔琉もご機嫌だ。
園からの帰りはウトウトすることもあるが、ヘルメットをかぶっているしヘッドレストがあるので安心だ。
少しずつ働くママさんらしくなってきたなと、詩織は自画自賛する。
そんな気のゆるみがあったからか、ある日とんでもない来客が訪れた。