ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 にっこりと微笑むと、アンセルムも照れたようにもじもじとした。
アンセルムは可愛い。エドとよく似ている。母が違うとは思えないほどに。
 ずっとこのままのアンセルムでいてくれればいいのに――無理か。人は大人にならないわけにはいかないのだから。

「兄上とシアお姉様の冒険のお話を聞かせてください!」

 アンセルムが目をキラキラとさせている。そんな目をされてしまったら、シアとしては断るわけにもいかない。迷う事情もあった。

(今日は、納品に行った方がいいだろうなと思っていたんだけど――んん?)

 アンセルムが望むのなら、納品は明日にしてしまってもいいだろうかと一瞬思ったけれど、不意にある事実に気が付いた。

「アンセルム様、今日の授業はどうしたのですか?」

 王族の日程というのは、そう簡単には変えられないもの。
 エドにしても、午前中から政務に入る日、政務に入る前に剣の稽古をする日、午前中のうちに人に面会する日、など厳密に決められている。
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