ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 冒険者としてリスヴェンに赴いたり、他の街に赴いたりする際も、事前にできるだけ片付けられるものは片付けていることを知っている。ルイダーン王国にいる間も、夜はせっせと送られてきた書類に目を通していた。
 シアが把握している限りでは、アンセルムは午前中から家庭教師の授業を受けていたはず。それはほぼ毎日のことで、特に事情がない限りそれは変わらないはずだった。
 そして、シアが戻ってきたというのはそこまでの事情にはあたらないはずだ。
 じっと見つめると、アンセルムは違う意味でもじもじとし始めた。

「ええと、それは――」

 その様子で直感した。もしかして、サボり。サボるのはよろしくない。

(陛下のところまで、マルにお使いに行ってもらおう――!)

 早いうちにアンセルムを回収してもらった方がいいと思ったけれど、それより先にエド本人が来た。

「アンセルム! ここにいたのか! 授業に来ないと連絡があったぞ。勝手に抜け出したらだめだろう!」

 エドは焦ってここまで来たらしい。全力疾走で来たようで、髪は乱れているし、服は乱れているしで、見ただけで取り乱しようが伝わってくる。

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