ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
「ごめんなさい、兄上。でも、僕、シアお姉様に会いたくて……」
「シアにもシアの都合というものがあるんだ。きちんと約束をしなければだめだ」

 だって、とアンセルムは不満そうな表情になった。
 エドもヨアキムもシアも三人そろってしばらく留守にしていたから、寂しかったのかもしれない。

「アンセルム様、勝手にこっちに来てはいけません。陛下が心配するでしょう?」
「陛下! ここにいらしたんですか! 政務に遅れが出ますよ!」

 帰りたくないというアンセルムをなだめていたら、とうとうヨアキムまでやってきてしまった。ヨアキムはアンセルムというよりエドの迎えに来たわけだが。
 空いている時間には政務を執り行っていたとはいえ、国王が留守にしていたのだから、どうしたって仕事はたまる。

「アンセルム殿下、陛下はお忙しいのです。わがままを言われては困ります」

 冷たい声音で言い放たれたヨアキムの言葉に、アンセルムはしょげた表情になった。じわり、と目に涙が浮かぶ。

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