ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
「時には、誰かにただすがりたいってこともあると思うんです。私が話を聞くことで、楽になれるのならそれでもいいかなって」

 ここにシアが滞在していることを、よく思わない人がいるということも知っている。
 これ以上、エドに近づいてほしくないと思っているのはヨアキムだけではないということも。

「エドさんの役に立ちたいんですよ、私。私に話をすることで、貴族の人も安心すると思うんです」

 エドに対して、よからぬ感情を持っていると心配して様子を探りに来た人もいた。
 まだ、頬に当てられたままだった手を、そっと取る。シアはエドを助けたかもしれないけれど、シアもこの手に救われた。
 エドとの間にあるのは友情。それ以上はなにもないということを、彼らにもわかってもらわなければ。

「それに、ただ飯食らうわけにもいかないし――やれるだけのことはやっておかなくちゃ……エドさん?」

 エドが、痛みをこらえるような表情になった。

「シアはよけいな気を回さなくてもいいんだ」
「別に、よけいな気を回しているわけじゃないです」

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