ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 本当に、そうなのだろうか。そういった類の話には疎いから、よくわからない。明確な答えが、今すぐ目の前に転がってくればいいのに。

「君って、本当に鈍い」
「……だって、だって、だって」

 こちらを見るイドリスの目が、生温かい。いたたまれなくなって視線を落としたら、頭をよしよしされた。シアの方が年上なのに、完璧に子ども扱いだ。

「僕も君に求婚した身だから、あまり偉そうなことは言えないんだけどさー。好きなら好きって気持ちをちゃんと認めてあげた方がいいんじゃない? 変に押し殺そうとしないでさ」

 イドリスの方が、いろいろと経験を積んでいるようだ。
 シアに求婚してきたのが、シアに対する恋心ではないだろうなということはわかっている。いくらシアが鈍くても、イドリスの目に熱がないのはあの時もなんとなく理解できていた。

「僕は、君がうちの国に来てくれたら楽になるんじゃないかなって思っただけだし――まあ、エドが君を大切にしているっぽいのはなんとなくわかったから、無理に連れて帰ろうとも思わなかったけどね」
「――うん」

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