ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 女神と約束をした。エドが治めるこの国を大切にすること。それがシアの願い。

「もし、君が逃げたくなったら逃げ場はあるって覚えておいてくれたらいいよ。だって、僕は君の友達だから」
「ありがとう、イドリス。その時には、遠慮なく頼らせてもらうわね」

 イドリスを頼りにするようなことは、起きないと断言できる。だが、彼のその言葉は、シアの胸を温かくしてくれた。

 数日、南の離宮に滞在したイドリスは、すぐに自分の国へと戻っていった。「また、そのうち会いに来るよ」と言い残して。
 彼は彼で人生を繰り返す中、なんとかシアを助けようとしてくれていた。彼も大切なシアの友人だ。救うために求婚までしてくれた。
 イドリスを見送ってから薬草園の世話をしていたら、向こう側に人影が見えた。誰だろう?

「シアお姉様!」 

 パタパタと走ってきたのは、アンセルムである。
 以前、約束もせずに来た時には注意したけれど、それ以来、会いに来る時には事前に使者を出すようになったから、いきなり押しかけてくるのは久しぶりだった。

(……なにか、あったのかしら?)

 アンセルムは、思い詰めたような表情をしている。
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