ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
「私の口からは、なにも言えないんですよ。だって、この国の王家に関わる問題ですもの。陛下に、きちんとお話をしてみてはいかがでしょうか」

 エドに話をしても無駄だと最初から思っているらしいアンセルムは、首を横に振った。
 アンセルムの助けにはなってあげたいのだけれど――シアもどこまで兄弟の事情に口を挟んでいいものかわからない。

「あのね、シアお姉様。これ、なんだかわかります?」

 シアに言うだけ無駄だと思ったのかもしれない。アンセルムは、上着のポケットの中からなにか取り出した。

「……これは」

 アンセルムが取り出したのは、銀の鎖だった。鎖の中央では、銀の円盤が揺れている。円盤の大きさはシアの親指の詰め物程度。そこに細かな模様が彫り込まれていた。

「近くで見せていただいても?」
「かまいません」

 シアの手に載せられたそれは、実物よりずっしりと重いように感じられた。
 円盤に彫り込まれていた模様には、見覚えがあった。イリア元王太后が持っていた品にも、同じ紋章のようなものが彫られてあった。
 これは、魔女の紋章。邪神を崇める者達の印。

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