ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
「いえ、とんでもないです――その、あとでお時間をいただけます? なるべく早いうちに」
「それは、かまわないが。今日の午後――夕方なら、時間がある。シアはどうだ?」
「納品に行く予定ですが、早めに戻ってくれば大丈夫です」

 ベラの店に納品に行く予定はあるが、夕方以降なら大丈夫だ。

「アンセルム様、今度はちゃんと陛下にお話をしてからいらしてくださいね」
「はい」

 横目でうかがうと、アンセルムの表情は薬草園のところで顔を合わせた時より、明らかに変わっていた。思い詰めていたものが消えたというか。

(あとは、エドさんが話をどこまで聞いてくれるか……よね)

 アンセルムに向けるエドの感情は、なかなか難しいところがある。彼に対する愛情は本物だろうけれど、イリア元王太后のことを考えると、アンセルムにどう伝えるのか悩ましい。
 シアにできることは少ないけれど、きっとこの兄弟は大丈夫。証拠があるわけではないけれど、そう思った。
 

 * * *

 

 シアの方から面会の許可を求められるのは珍しい。余程のことがない限り、ベラの店で顔を合わせた時に話をすれば済むからだ。
< 223 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop