ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 もう少し大人になって、アンセルムの様子が落ち着いたら伝えてやろうと思っていた。

「アンセルム様は、気づいてらっしゃいます」

 え? と声に出す間もなかった。シアはゆっくりと繰り返した。アンセルムは、気づいている――と。

「嘘だろ?」
「いえ。今朝、ずいぶん思い詰めた表情で、離宮にいらっしゃいました」

 どこで気がついたのだろう。
 アンセルムの耳には入らないようにしてきたはずだった。
 イリアとアンセルムのやりとりについては許可しているが、イリアからの手紙については一度こちらで目を通してからアンセルムに渡すようにしているのに。

「母親が罪を犯した、と言うことはご存じのようでした。それを、陛下が隠していることも気づいていらっしゃいます」
「アンセルムが? どこから漏れた」
「探すのは難しいのではないでしょうか。アンセルム様も、どこで聞いたのかは言わないでしょうし」

 イリアのことはともかくとして、アンセルムには罪を問うべきではないと思っていた。
 事情が事情だから、成人したら王籍を離れることにはなるだろうが、弟への愛情を失ったわけではない。

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