ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
「シアは、俺にどうすべきだと言うんだ?」
「アンセルム様に、全てをお話すべきだと思います。アンセルム様は、陛下が思っているより――いえ、私も含めた大人達が思っているよりずっと、落ち着いていらっしゃいます」

 だから、アンセルムには全てを話すべきだとシアは続ける。エドが仏頂面になっているのにも気づいていないふりで。

「だが、アンセルムが受け止めきれなかったらどうする?」

 まだ幼いアンセルムに、母の罪を知らせるなんてできなかった。もしそれで、ショックを受けてしまったらどうすればいいのだろう。

「その時はその時ですよ」

 まるで他人事のようにシアは続ける。まるで他人事みたいな、気楽な口調だ。少しばかりいらっとしたが、次の瞬間にはその認識を改めることになった。

「アンセルム様には、陛下がいるじゃないですか。頼りになる家族が側にいるのなら、なんだって乗り越えられますよ。違いますか?」

 シアは本気でそう思っているみたいだった。
 エドの頭をかすめたのは、シアの家族のこと。シアひとり、エクスレイ家から弾き出されていた。それでも、そう言える強さがシアにはある。

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