ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 最初のうちはまとまって定住していたのだが、ばらばらになり、他の人達の間に紛れて暮らすようになった。
 他の人達の間に紛れて暮らすうち、一族としての統制を取ることは当然難しくなっていった。
 仲間内で結婚した者達はまだいい。
 自分の知識を、願いを、子供に受け継ぐことができたから。
 けれど、一族の者以外と結婚した人は、自分の知識を子供に伝えることを恐れるようにもなった。よけいなことを知らなければ、外の世界の人に紛れて暮らすのも簡単だからだ。

「姉は、焦ったのです。私達は、長い年月の間に、少しずつ数を減らしていましたから。そのうち、自分達の行動が正しいのかどうかもわからなくなって」

 リーヌは、そう言うと唇を噛んだ。
 ヴォラスを慰めなければいけないのに、その役を引き受ける者は数を減らす一方。ある程度まとまって住むことのできる場所が必要だ。

「魔女というのは、否定的な意味ばかりではないのです」

 リーヌは、そう話した。
 たしかに、魔術を使いつつ市井に溶け込んでいる人間もたくさんいる。
 ポーション職人だって、魔力をポーションに流すことでポーションを作成している。
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