ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 イリアの罪についてはかん口令を敷いたから、彼が母の罪についてどこで知ったのかは結局わからないまま。

「私には難しいことはわかりませんけど」

 と、前置きしてからシアは続けた。
 家族の愛情なんて、シアにはわからない。妹が妹であったのははるか昔のこと。

「アンセルム様は、アンセルム様なりにエドさんを助けようと思っているのでしょう。エドさんの愛情も、元王太后からの愛情もちゃんと受け取った上で、どうするのが一番いいのか考えようとしているのだと思います」

 それは、もしかしたらまだ十歳の少年に負わせるにはあまりにも重荷であったかもしれない。けれど、アンセルムはそれを背負うと自分で決めた。
 ふたりとも、アンセルムを愛しているのには間違いない。そしてアンセルムは、ふたりの愛情をちゃんと受け取った上で、母の罪に向き合うと覚悟を決めた。
 アンセルムがそう決意したのなら、エドやシアにできるのは、見守ることだけ。アンセルムが倒れそうになった時、いつでも救いの手を差し出せるように。

「……間違ってはいない、と?」
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