ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 もっとも、そのヨアキムには命を預けられるほど。

「アンセルムは、俺のことをどう思っているんだろうな」

 背後から聞こえてくるのはエドのため息。シアは首をねじって、エドの顔を見上げた。
 真正面を向いている彼は、生真面目な表情をしている。こういう表情をしている時の彼が好きだな、と思った。
 エドのことが好き。
 そう胸のうちで言葉にすれば、じわじわと押し寄せてくる幸福感。エドにそれを伝えるつもりはない。友人としての距離を守ると決めた。

「エドはさあ、考え過ぎなんだよ」

 シアのマントの内側から、ひょっこりとマルが顔を出す。赤い瞳でエドを見つめて、マルは鼻をひくひくとさせた。

「心配しすぎなにおいがする」
「なんだよ、それは」
「エドからは、そういうにおいがするってこと。アンセルムはいい子だし強い子だし、自分で向き合うと決めたのなら、ちゃんと立ち向かえるよ。そんなに心配しなくていいんじゃないかな。まあ、僕も全てを見通せるわけじゃないんだけど」

 マルに与えられている知識は限定的なもの。新たに女神に話を聞こうとしても、制限されてしまうらしい。
< 272 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop