ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 イリアは、アンセルムに自分の役目を教えようとはしなかった。その結果が、アンセルムの即位に邪魔なエドを暗殺するという方法である。
 けれど、母が何者であるかを知ったアンセルムは、母の役を引き受けると決めた。
 手紙ではいろいろと教えてくれたけれど、彼女が喜んでいるのかどうかはわからなかった。

「そうかもしれませんけれど、嫌うということはないと思いますよ。だって、親子じゃないですか――って、私が言っても説得力皆無ですよね!」

 口にしてから後悔した。
 親子だから、嫌いになるはずはないなんて、シアが口にしても説得力がないことこの上ない。
 家族に憎まれてきたし、シアもそんな家族を捨てた。
 幽閉されている元家族達は苦労しているだろうけれど、彼らを助けてやろうというつもりもない。この国において彼らは犯罪者だし、それを否定するのもありえない。

「説得力……あああああ、アンセルム様、ごめんなさいっ!」

 シアの言葉に、アンセルムの方も悟ったようだった。
 元家族との関係について、アンセルムに話したことがある。
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