ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 遺跡の方も、今は少しずつ道具を運び込み、記録を取って研究が進められているそうだ。
 シアが見てわかるかどうかは疑問だけれど、少しずついい方向に向かっているのを実感できるのはありがたい。
 エドと並んで歩く。こんな時間が、いつまでも続けばいいのに。

「ねえ、エドさん。ずっと、こうしていられたらいいですね」

 思わず口から漏れたのは、本音。
 エドと一緒にいられたら、きっとずっと楽しいだろう。エドの一番近い友人、その立場を守ることができたなら。

(……本当に?)

 とっくに気づいている。他の人達にも気づかれている。
 シアの気持ちが、友情ではないものに変化しているということを。
 けれど、エドの答えは、シアが期待していたものとはまるで違っていた。

「俺は嫌だ」

 まさか、拒まれるとは思っていなかった。たしかに、図々しかったのかも。
 しゅん、としてしまってうなだれる。
 今の今まで持っていたワクワクとしていた気持ちは、完全にどこかに行ってしまった。

「……そこまで嫌がられるって思ってませんでした」

< 294 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop