ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
「そうじゃない! そうじゃなくて、だな」

 背後でエドが一度言葉を切った。それから、彼は思いきったように早口で続ける。

「俺は、シアに俺の隣にいてほしい――友人なんかじゃない。生涯愛するただひとりの女性として」

 生涯愛するただひとりの女性――それって、なんだ。
 聞き慣れない言葉、思いもかけなかった言葉に、頭が真っ白になる。

「ええええええっ!」
「その反応はどうなんだ!」

 だって、生涯愛するただひとりの女性。それって、エドの妃のことじゃないか。

「いや、だって……」

 今までエドは一度もそんなこと口にしたことなかった。シアとの間に、友情以上のものを望んでいるように見せたことはなかったのに。

「大丈夫なんですか、それ」

 大丈夫という言葉もどうかと思うけれど――。案の定、エドからも突っ込みが入った。

「大丈夫ってなんだ、大丈夫って」
「だって、私でいいのかってことですよ!」

 だって、今のシアはただの平民だ。貴族としての生活は捨ててしまった。
 エドには、エドを支えてくれる有力な貴族の娘が必要なはず。そこに割り込むような真似、できるはずもなかった。

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