ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 結婚したところで聖女としての能力が薄れるわけではないし、マルも賛成してくれた。マルが賛成したということは、女神としても不満はないということなのだろう。
 問題はないと言えばないのだけれど。

「あいつも、素直じゃないからな」

 エドも、ヨアキムが反対しているのには気づいていた。シアにはなにも言わないようにしていただけで。

「……俺の努力を、おふたりは買ってくれるつもりはないんでしょうか?」

 ヨアキムが、エドの机に置いたのは一枚の書類であった。金で縁取られたそれは、みるからに重要そうな気配を放っている。

「なんだ、これは?」
「セアルド公爵の了承は得ました。シアさんがお望みならば、セアルド公爵の養女になれば身分の問題はクリアできます」

 セアルド公爵――は、元セアルド国王だ。シアにとっては、義父になるかもしれない人だった。
 シアのことは可愛がってくれたけれど、基本的には放置。聖女の祠で、苦しい生活を送っていることさえ知らなかった。

(……でも、悪い印象はないのよね)

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