ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 シア自身は聖女であることをさほど利点と思っていなかったけれど、冷静に考えればシアが他国に流出してしまうのは大問題。
 女神の加護は、エドがこの国を治めている間続くだろうけれど、シアを国内にとどめておく方がいいのは間違いない。

「……ちょっとザウドまで行ってきます」

 もともと王家の直轄領だったその地は、今はアンセルムの領地となっている。
 実際に統治しているのはアンセルムの代理である代官だけれど、ライリーラ特区の人達にとってはエドよりアンセルムが領主である方が落ち着くだろうというエドの計らいだ。

「俺も行く。っていうか、俺が行かないとだめだろ」

 グリフォンの操縦を習おうかと言ったら、エドにものすごい勢いで反対された。なので、グリフォンに乗って出かける時は毎回エドに乗せてもらっている。

「……行ってらっしゃいませ」

 ヨアキムが残ったのは、ふたりきりにしてやろうという心づもりだろうか。エドとシアがそろっていれば、この国最強のふたりであるのは間違いない。
 グリフォンに乗って、空に舞い上がる。そろそろ、ひとりで乗れるようになりたいのに。

「――で、返事は?」

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