ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 王宮がはるか下になったあたりで、エドは問いかけてきた。

「そんなことを言われても……きゃあっ!」

 背後から回された腕に力が込められる。エドの気持ちが伝わってくるみたいで、心臓がバクバク言い始める。

「……シア?」

 この人、こんなに甘い声が出せただろうか。友人としての付き合いが長かっただけに時々見せられる甘さに戸惑ってしまう。

「引っ越しは、なるべく早い方がいいな。あ、その前に改築した方がいいか?」
「必要ありませんよ。エドさんと一緒にいられたら、それで十分です」

 これからは、シアの生活の場はエドの暮らしている宮に移動することになる。南の離宮は、聖女として他の人と面会するための場所として使うことになるだろう

「ああ、見えてきましたよ!」

 ライリーラ特区が、眼下に見えてくる。
 シアの役目はまだ完全に終わったわけではない。
 でも、繰り返し続ける人生から抜け出し、望んだ幸せを掴むことができた。明るい未来が確約されている今、恐れるものはなにひとつない。
 今は、幸せだ。心からそう思った。
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