ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
「ならば、叩かれるようなことをしなければよろしいでしょう。礼儀はきちんと守るように、何度もお教えしたはずですが?」

 ひぃとイドリスが身体を縮め、シアも思わず彼に倣ってしまった。シャーミルの目は、とことん冷たくなっている。
 ヨアキムよりも、シャーミルの方が怖そう――って、今はそんなことを考えている場合ではなかった。

「そう言えば、イドリス達はなんのために来たんです?」

 シアへの求婚が目的ではないと、今、口にしていた気がする。

「ああ、それなんだけどさ。エヴァンドロ陛下、机を借りてもいいか?」

 と、真面目な顔になったイドリスは、エドの許可をとってから、机の上に大きな地図を広げた。
 大陸全土が描かれている地図である。大陸の中央にあるのが、この国、ガラティア王国だ。そして、ルイダーン王国は最南端。ちなみに、セアルド公爵領は、この国の東北部に位置している。
 ここが国境――とイドリスの指が、国境の線に沿って動いていく。そして、ある一点で止まった。
 ルイダーン王国とガラティア王国の国境の地。ザウドと呼ばれる町のすぐ側にある山だった。

「ここに、遺跡が発見されたんだ」
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