ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 ぺちん、とイドリスの額を叩いておいて、シャーミルはエドの方に向き直った。

「遺跡が発掘されたなら、ガラティア王国側で調査隊を出しますよね。そこに、我々も同行させていただきたいのです」
「どっちだって変わらないだろ?」
「大きな違いですよ!」

 気楽な口調で言葉を重ねたイドリスの方に向き直ったシャーミルは、だが、そこで深々とため息をついてしまった。

「勝手に他国の遺跡に入るわけにはいかないでしょうが……」
「というわけで、許可をくれ」

 手のひらを上にして手を出し、許可をくれと軽々しく言うイドリスに、エドもどう対応したらいいのかよくわからないらしい。右手を頭にやり、ぐしゃぐしゃとかき回す。

「――俺の一存では許可は出せん」
「意外とケチ」
「そうじゃありませんよっ、全くあなたって人は――本当に申し訳ない。躾ができてなくて」

 ぺこぺことシャーミルが頭を下げる。日頃から苦労させられているのだろうな、というのがその様子からもうかがえた。

「幼くして聖人になったものですから、親戚一同それはもうこの子を甘やかしまして――主の無礼はお詫びいたしますので」

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