ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
「イドリス、私、夕方用事があるの。その予定は変更したくないから、部屋に案内するのはそのあとでいいかしら」
「かまわないけど、なんで?」
「今日は、アンセルム様にお目にかかることになっているの」

 イドリスは大切な友人だけど、アンセルムも大切だ。そもそも、今日はアンセルムの方が先約である。子供ではないし、つきっきりでいる必要もないだろう。
 こうして、イドリスの南の離宮滞在は決定したのであった。

 * * *

 

「――お断りすればよかったでしょうに」
「できるか!」
「自分で受け入れておいて、今さらじたばたするのはみっともないですよ」

 ヨアキムのこちらを見る目が若干冷たいのは気のせいか。
 自分とシアの関係が今以上に進むのは、ヨアキムにとっては面白くないのだろうなというのは、なんとなく予想はできる。なにせ、最近、見合いの話を持ち込まれることがとても増えたので。
 たしかに、アンセルムを後継者に限定する必要もなくなった。呪いが解除された今なら、エドに嫁ぎたいという女性は、いくらだって見つかるだろう。
 ――でも。
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