ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 僕だよって言われても。この少年とは初対面。そもそもルイダーン王国には知り合いなんて――。

「やだなあ、もう。つれないなあ! 僕のことわからない? イドリス・ソレール、君の文通相手だよ!」
「……イドリス?」

 その名前なら覚えがある。
 ルイダーン王国の聖人だ。直接顔を合わせたことはなかったから、知らない人だと思ってしまったけれど、イドリスたというのなら目の前にいるのは文通相手だ。

「あ、ああ……イドリス、なのね?」

 手紙の文面は落ち着いていたから、年上だとばかり思っていた。こんないきなり求婚してくるようなせっかちな人だなんて。

「そう。だから、結婚しよう!」

 もう一度、満面の笑みで求婚された。だから、結婚しようってどういうことだ。

「……なんで?」

 そうたずねるけれど、どうやら、シアの問いに答えてくれるつもりはないらしい。
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