ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
「シャーミルの方はどうだ?」
「幼い頃、聖人の世話係兼護衛に抜擢されていますね。一番の腹心といっていいでしょう」

 先ほどの会見の時、しきりにイドリスをたしなめていたのを思い出す。
 ふたりに、怪しいところはなさそうだし、許可は出すことにしよう。
 ここで、ルイダーン王国との関係を悪化させるつもりもない。だが、自分の目の行き届かないところで、ふたりに好き放題に遺跡を探索させるつもりもなかった。

「ヨアキム」
「かしこまりました。二週間分の政務を調整いたしましょう」

 名を呼んだだけで、望んだ答えが返ってくる。だから、ヨアキムを手放すことはできないのだ。
 

 * * *

 

 その日の夜、イドリスとシャーミルを招いたシアは、居間にお茶の用意をしていた。茶葉は、エドから差し入れられたもの。最高級の品である。
 シアとマルの作った料理を、ふたりとも堪能してくれたらしい。気に入ってくれたのならよかった。

「驚いたわ。急に来るなんて思ってなかったもの」
「僕がシアに会いたかったからね。もっと早く、聖女の祠に行けたらよかったんだけどさ」
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