ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
「ありがとうございます」

 マルに頼めば、シアひとりでグリフォンに乗ることもできるが、長距離であることを考えてエドに同乗させてもらう。ひとりで長距離を飛ぶ間、まっすぐに座っていられるとも思えなかったというのもあるので。
 シアのポケットにおさまったマルは、周囲に敵がいないか警戒しながら進む。身体はさほど大きくないが、マルも立派な戦力なのだ。
 最初に警戒できるマルを乗せたグリフォン、次が客人、背後からの攻撃に備えてヨアキムが最後という布陣だ。
 グリフォンに空中で攻撃をしかけてくるとしたら、ワイバーンなどのドラゴン種くらいだろうし、よほどのことがなければあちらから仕掛けてくることもないはずだ。
 国境の街が襲われた時にもエドに同乗させてもらったから、今回が初めてというわけではないけれど、眼下の光景は新鮮に見えた。

「シア、寒くないか」
「大丈夫ですー!」

 風が強いので、会話をするためには顔を近づけなくてはならない。振り返ったら、思っていた以上にエドの顔が近いところにあった。
 びっくりしたのをごまかすように、シアは笑ってみせる。
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