ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 実は、シアの身に着けているマントは、マルが加工してくれたものだ。
 マントの内側を適切な温度に保ってくれる機能がついているらしく、顔は若干冷たいけれど、身体の方はぽかぽかである。

「そうか、ならいいんだ――空から見る景色も悪くはないな」
「そうですね!」

 今回グリフォンが用意されたのは、往復にかかる時間をできるだけ少なくするためという事情もあるらしい。なにしろ、国境までは普通に馬車で移動すると十日ほどかかってしまう。
 それに、下を行けば、盗賊などに襲われる不安もある。エドはもちろん手を打っているが、それでも全領土内から盗賊を一掃するというわけにもいかないのだ。

「グリフォンだなんて、贅沢ですねー!」
「ルイダーン王国の聖人が来ているからな。このくらいのことは」

 冒険者組合の前で待っていたグリフォンは、国が冒険者組合に委託して飼育しているものだ。なにかあっても、グリフォンならばすぐに飛んでいくことができる。緊急事態には、冒険者組合に集った冒険者の中から、グリフォンに乗って先行する者が選ばれることになる。
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