ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 周辺の街でなにが売っているのかわからないから、アンセルムへの土産については仕事が終わってから考えよう。

「それにしても、前回見た光景とはまるで違いますね!」
「そうだな。もう秋も近づいてきたからな」

 前回、グリフォンの背中から下界を見下ろしたのは、まだ夏の名残が残っている頃合いだった。今は、秋が近づき始めている。木々の葉は、赤や黄色に色を変え始めていた。

「すごく、綺麗ですよね」
「もう少し季節が進むと、あのあたりは真っ赤になるんだ」

 エドの指さした方へと視線を巡らせる。

「見てみたい気もしますね――あ、でも緊急事態がないとグリフォンには乗れないから、それでは困りますね」

 グリフォンに乗って遠出をするのは、シアのいる場所から遠く離れたところで魔物が大量発生した時か、瘴気が発生した時くらいだ。
 どちらにしても、人々の生活に影響があるのだから、軽々しく口に出すべきじゃなかった。
 しゅんとしていたら、エドが背後から耳元に顔を寄せてくる。首筋を彼の吐息がかすめて、思わず背筋に力が入った。

「実は、王宮には俺のグリフォンがいる」

< 52 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop