ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 シアとは友達ということになっているが、ここは彼の暮らす王宮である。礼儀はきちんと守らなくては。
 エドがヨアキムを伴っているのはいつも通りだったけれど、いつもと違うのは、エドの側にもうひとりいるところだった。金髪に緑色の瞳の美少年である。
 彼がエドより十歳年下の異母弟、アンセルム。今日のシアが落ち着きを失っている一番の要因でだった。

「アンセルム、こちらが我が国に平和をもたらしてくれた聖女シアだ。今は、南の離宮で暮らしている」
「――うわあ、聖女様」

 シアにアンセルムを紹介する前に、アンセルムの感嘆したような声がエドの言葉を打ち切らせた。

「一度、お会いしたいと思ってたんです。瘴気の浄化ができるんですよね? 呪いも解くことができるって本当ですか?」

 シアを見るアンセルムの目は、キラキラと輝いている。

「ええ、殿下」

 眩いばかりのアンセルムに少々押されながらもシアはうなずいた。

(……うん、普通の子供っぽいな)

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