ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
「なあ、シャーミル、魔術で水は作れるんだよな?」
「作れますが、基本的にはまずいですよ? 前、イドリス様もまずいって言ってたじゃないですか」

 砂漠を横断する時など、途中で水が足りなくなることはいくらだってある。
 そういう時には、魔術で水を出すのだが、まずいのが基本らしい。おいしい水を作れる者は、それだけで重宝されるというレベルなのだとか。

「じゃあ、魔術で水を出しているわけじゃない?」
「今まで見てきた部屋全部に誰かしら住んでいたとして、その生活を支えるだけの水を確保するのは難しいと思います」

 主従の会話を聞きながら、シアも考え込んだ。
 下の町から水を汲んでくる? それにしたって大変だ。
 下からここに来るまで、四時間ほどかかっている。片道四時間。人が一度に運べる水の量には限界があるから、それでは無理だろう。
 馬とか使えばもう少したくさん運べるだろうけれど、それにしたってここで生活できるだけの量を確保するのは難しそうだ。
 となると、ここには一定期間、たとえば儀式の時などに宿泊するだけで、基本的には別の場所で生活していたのだろうか。
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