ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
第三章 南の国の爽やかな休日
ルイダーン王国の街グントで滞在することになったのは、ソレール家の別邸であった。
 イドリスの命令ひとつであっという間に客人をもてなす支度が整えられる。
 まるで実家に帰った時のような痒い所に手の届くもてなしぶりだ。シアの実家はアレだったので、実家に帰った時の居心地よさというのは今ひとつぴんと来ないけれど。

「なーなー、あの遺跡、こっちにもつながってるんなら、あの魔道具の権利、こっちにもあるんじゃないの?」
「それは、これからの協議になるだろうな。違うか?」

 建物の一階にある食堂。そこでテーブルについた一行は、ちょうど夕食に舌つづみを打っているところであった。テーブルの上には、海の幸がこれでもかと並ぶ。グントは、港町でもあるのだ。

「魚! 生!」

 出てきた料理に、シアは思わずそう叫んだ。
 実家は海から遠いところにあったし、聖女の祠に入ってからは、肉や魚なんてめったに出てこなかった。
 マルがどこかで食材を調達してきてくれなかったら、飢えてもおかしくないほどの量しか出してもらえなかったし。
< 82 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop