ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
「こっちには、スズキの塩釜焼きな! お腹にハーブが入っているから香りがいいんだ。レモンを絞ってもうまい」

 イドリスが、塩釜焼の魚をシアにも取り分けてくれる。こんなに大人数で食卓を囲む機会というのも珍しいから、シアとしては非常に楽しいひと時であった。

「……魚は火を通すものだと思っていましたが、悪くありませんね。おいしいです」

 ヨアキムとエドも、生の魚に遠慮なく手を伸ばしている。ヨアキムと食事をする機会は今までなかったから、素直においしいと言うのにちょっと驚いた。

「氷で冷やしながら早馬で届けさせるという手も取れるが、リスヴェンでは難しいだろうな」

 リスヴェンから距離はあるが、ガラティア王国内にも漁港はある。そこから生け簀を備えた馬車で、馬を替えながら超特急で運べば半日でリスヴェンまで届くらしいが、それが許されるのは、王族や貴族くらいのものだろう。

「生で食べるのは危険だろうな。しばらく海の方に行く予定もないし――ここで堪能しておくか」

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